男子と会話はできません
「……いや、えっと、文化祭回ろうなんて話にもなってないんだ……この前いた市ノ瀬くんの友達に、わたしといる市ノ瀬くんがらしくないって言われたから、一緒にいて楽しくないから、誘われないのかなって、今、考えちゃっただけで」
そう考えると、バスケの試合だってそんなに来てほしそうじゃなかったし。
早口で言ったのがおかしかったのか、隼人くんはふっと笑った。
「悪く受け取ったんだ?」
「え?」
「らしくないくらい、高塚のこと思ってるってことでしょ」
「……へ」と、間抜けな返事をしてしまう。相談乗りたくないはずなのに、落ち込んでると思って、励ましてくれたのかな。そうか。そういう受け止め方もあるのか。
「一緒にいて、楽しいから好きとかそういう単純なことじゃないと思うよ」
「そっか。ありがとう。ごめんね、顔に出やすいね、わたし。隼人くんは誰かと回るの?」
「決めてない、けど」
「けど?」
「さっき、真壁に文化祭、一緒に回ってほしいって言われた」
「あっ、そうなんだ」
「考えてって、言われたから返事してないけど。一緒に回ってみようかな」
ドサッと手から段ボールが滑って落ちた。「大丈夫?」と、隼人くんが屈んだ。