男子と会話はできません
だけど、付き合おうって言って、好きじゃなくてもいいからって言ったのは自分だから。仕方ない。言った言葉の責任は俺にあるんだ。
こうなるのだって、どこかで覚悟できてたはずだろ。
だけど段々仲良くなっていくとさ、やっぱり欲張りになるよな。
もともと調子いいし、俺。
なんかこういう感情って、本当に初めてで、どうしていいかわかんねーや。
ただどうしたら今日も明日も一緒にいてくれるんだろ。そんなことに気を取られてると気付くと、本質を忘れてしまいそうだ。
大事にするって言ったのにな。
俺は彼女のことを大事に出来てんのかな。
言葉にすると偉そうだけど、その中身が実はよくわかってねーや。
「疲れたなー」
部室で着替えながら、くたばった声をあげる。
「なんか今日市ノ瀬、走らされるの多かったよな?」
「そうかー?」
「シュートミスしまくり。気合入ってねーぞとか、言われてたじゃん」
「気合なー」
気合で解決できるものなら、いくらでも気合入れるけどな。
部室を出ると、若槻がいた。