男子と会話はできません

「だって、ラッキーアイテムとか言われても準備できねーじゃん?この前、ざるとか言われたけど、どうしろって言うんだよって思ったよ」


そう言うと笑う。ぎゅっと手を強く握ると、びくりと肩があがった。言おう言おうと思っていたけど、言えてなかったことがあった。


「あっ……あのさ」


「うん」


「あのさ、文化祭、一緒回らない?」


「……うん」と、頷く。


少し考えていたような間があった。嫌とかじゃねーよな。と、簡単に不安になる。なんだこの後ろ向き。


「良かった」と、羽麗ちゃんは安心したように呟いた。


「なにが?」


「市ノ瀬くん、わたしといてもつまんないのかなって思ってたから。誘ってくれて、安心した」


どうしてそんな弱気なことを言うんだ?そんなわけねーだろって、ついムキになって言い返してしまった。


「つまんないとか思うわけないじゃん。ただ一緒にいれるだけで嬉しいのに」


「……」


「……」


また必死になってしまった。ダサい。だって全然俺の気持ちが伝わってなくて驚いたから。伝えたくて必死になった。
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