男子と会話はできません
「謝ってほしかったんじゃないから、気にしないでよ。ただちょっと気になってたから、謎が解けて安心した。男、苦手なだけだったんだ」と、笑った。
違うと思った。
「苦手じゃなくて、あまり話さないようにして……たから、ちょっと緊張する」
「なんで話さないようにしてたの?」
「……」
「言いたくないなら良いけどさ」
と、ベンチの背もたれに背中を預けた。
嫌な気分にさせちゃったかな。
大したことじゃないから言っても良いのだけど、市ノ瀬くんと友達になることもないだろうと思う。
だから、言う必要もない気がする。
「羽麗ちゃんさ、練習しない?」
「……練習?」
「男と話す練習」
「えっ?」
「俺と」
「……」
「……」
首を大きく左右に振った。
思わず断ってしまった。
そんなに心配される程、わたしはおどおどしていのだろうか。
ペットボトルの蓋もあけれなかったし、こんなつたない話し方じゃ重傷な子に思われても仕方ない。