男子と会話はできません
「こっちだっけ」と、時間をかけながらもなんとなく思い出してきたのか、順調に先へ進んでいく。
「今度は、ばっちりだね」と自信を持ち始めた。気付いたら少し先を俺が歩いて、高塚が後ろを歩いていた。
出口が近づいてきた。そろそろウレタンが敷き詰められている床に変わる。これでみんな驚くのかな、なんて先読みして考える。
足元の感触が変わると「うわっ」と、声がして振り返った。高塚が、前のめりになったかと思うと、そのまま倒れこんできた。
「大丈夫?」
「忘れてた。びっくりした」と、高塚が顔を上げた。ウレタンの床にしりもちをついて、どうにか受け止めた俺の足の間に、抱きつくような形で、高塚がいた。