男子と会話はできません
「あ、うん」
「声、かければいいのに」
「なんか取り込み中かなって思って」
「一緒に行く?」と、隼人くんが行く。あ、また気を遣わせてしまった。慌てて着いて行った。
「あれ?隼人、羽麗ちゃん」と、順々に顔を見た。
「高塚が、焼きもち妬いてたよ」
「えっ」と、顔が熱くなる。焼きもちだったのかな。ただなんか話しかけていいかわかんない雰囲気だったから、動けなかったのは確かだった。
というか、隼人くん、普通だ。昨日のこと気にしてたのは、わたしだけかと、気づく。
「高塚先輩のほうが、行実先輩よりわたしのこと意識してくれてるんですね。先輩に爪のアカでも煎じて……」
若槻さんは言う。
「はいはい。たこ焼き買わない奴は帰った、帰った」と、遮ると、
「もう。行実先輩にもう少し後輩に優しくするように高塚先輩からも言ってください」と、わたしに向かって微笑んだ。
なんて返せばいいんだろう。冗談だよね?どういう冗談?
貼り付けたような笑顔。違う。冗談じゃない。後輩としてじゃない。きっとまだ好きなんだ。