男子と会話はできません
「今、購買部のとこの窓から、見えた。市ノ瀬くんと羽麗」
「……」
「あれ?もしかして当てちゃった?」
「当てたってどういう意味?」
「隼人くん、羽麗には優しい顔するから。隼人くんが好きなのは羽麗なのかなって思って」
「違うよ」とだけ言った。
「番号さえ、教えてくれないもんね。隼人くん。わたし、そんなにダメかな?」と泣きそうな顔で言った。ダメだ。こういうのってすごく面倒くさい。早くこの場を立ち去りたくて仕方なかった。
「ていうかね。最近、隼人くんと同中だった子から聞いたから知ってたんだ。付き合ってたんでしょ?中学のとき」
「だから?」
「まだ引きずってるの?」
「そう思うなら、それでもいいけど。もう高塚にとっては終わってることだから。関係ないよ」
「そっか。ごめん」
真壁は悲しげに笑った。
「隼人くんも辛いんだね」
「……」
「隼人くん、わたし、好きだよ。隼人くんのこと。羽麗のことが好きでもいいから……友達からでもいいから付き合ってくれないかな?」
真壁が言い終わると、後ろで笑い声が響いた。