男子と会話はできません
24(side.U)
数日後。
初めてのことだった。お昼を市ノ瀬くんと一緒に食べるのは。本当はお弁当を作ってきたり可愛いことをしてみたかったけど、勇気がなかった。
裏庭の階段に座る。日差しが暑い今日は、日蔭が涼しい。市ノ瀬くんはお弁当だけじゃ足りないみたいで、購買部で買ったコロッケパンを頬張っていた。
「羽麗ちゃんって、あだ名なに?」
「えっ?あだ名?」
「うーちゃん?」
「小さいときはそう呼ばれてたけど。最近は、羽麗か高塚かなぁ。呼ばれるの」
「あだ名じゃないじゃん。じゃあさ、俺にだったらなんて呼ばれたい?」
「高塚」
「絶対、嫌だ」と、即答された。
「下の名前、嫌いだから、実はあんまり呼ばれたくないんだ」
「こんな可愛い名前なのに?」と、目を丸くした。