男子と会話はできません








次は体育の授業だったと、廊下にあるロッカーを開けた。体操着を手につかむと、血の気が引いた。


そのまま押し込み、長そでの体操着とハーフパンツを取り出し、扉を閉めた。


教室に戻ると、「長そで暑くない?」と杏奈が言った。


「Tシャツ忘れちゃって」


「嘘。借りてきたら?時間まだあるし。待ってるよ」


「実咲ちゃんのところ行ってみるね」と、杏奈に告げ向かった。


胸がどきどきしたのは、もうこんなこと、わたしがされるわけないと思っていたからだ。


今日、彩子に会う日で良かったと、心の底から思った。


きっと彩子ならこういうときに頼もしい助言をしてくれるはずだから。


『今日彩子の家でいい?』とメッセージを送ったあと、『相談したいことあるんだ』と、つけたした。

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