男子と会話はできません
彩子の家に行くのは、久しぶりで、わたしを部屋に通すと、ジュースとお菓子をテーブルの上に置いた。
彩子は「彼氏、できたんでしょ?超絶イケメンって聞いたけど」と、冷やかすように訊いた。
「え?誰がそんなことを」と、訊くと、西高に進学した地元の子の名前を言った。あまり話したことのない子だった。付き合ってるなんて、報告しなくても周りは勝手に知っているものだから不思議だ。
「写メ見せてよ」と、催促してくるから、恥ずかしいけどスマホを手渡した。
「へえ。かっこいいじゃん」と、クールな反応。
「ありがと」
「高塚は、イケメンキラーだね」
「イケメンキラー?」
「江野だってかっこいいほうじゃない?けっこうモテてたじゃん。後輩からすごい人気あったよ。知ってた?」
「知らなかった。そうだったんだ」
「高塚は江野に思われて当たり前って感じだったもんね。気にもならなかったよね」
刺のある言い方だった。