男子と会話はできません

だけど優しく微笑んでいるから、思い過ごしかと気を取り直す。


「そんなことないよ。彩子は最近どうなの？」


「あたしは全然、なにもないよ」


「門馬くんと別れてびっくしりしたけど、もう平気なの？」


そういえばちゃんと別れの原因を聞いていなかったんだ。


「平気、平気」と、あっけらかんと答える。


「長かったから、びっくりしたよ。門馬くん、彩子のこと大好きって感じだったから門馬くんから振るなんて思わなかったし。他に好きな子できたとかなの？」


そういうんじゃないんだけどね、冷めたんでしょと、呟いた。


「そんなことより、相談のってほしいって言ってたよね。どうした？」と、話題を変えた。わたしから言ったのに、一瞬忘れそうになっていた。


「あ、そうだ。あのね、わたし、実は、彼氏の元カノのことでちょっと悩んでるっていうか……話聞いてほしくて」


「元カノ？なに浮気？」と、眉間にしわを寄せた。


「浮気じゃないよ。ちょっと嫌がらせされて……それで、困ってるっていうか、どうしていいかわかんなくて」


「はぁ？嫌がらせ？どういうこと？」