男子と会話はできません
「高塚?」
「あ」
「どうしたの、ボーッとして。もうみんな戻ったよ」
隼人くんは日直で、科学室の黒板を消していた。
「石川、休みだからつまんないんでしょ」
「う、うん」
「風邪?」
「みたい」
出るタイミングが一緒になってしまい、廊下を並んで歩く。
彩子の言った言葉が引っかかって、顔が上手く見れない。けど、平常心と自分に言い聞かせる。
隼人くんは「職員室寄っていかなきゃいけなかったんだ」と、足を止め別れた。ほっとした。
隼人くんが言ってたな。本人から言われたことしか信じないって。
だから、周りの言葉に惑わされちゃいけない。隼人くんに言われたわけじゃないんだから。
それに、隼人くんには実咲ちゃんがいるんだから、どうでもいい話だ。