男子と会話はできません
なんだ。なんだ。
俺、あの子になんかしたか?
教科書返しに行っただけだったのに、あの態度。
嫌われる要素、ないんですけど。
『何怒ってんの?』
『怒りますとも』
教室に戻り、自分の席に座っているとクラスメイトの江野隼人に声をかけられた。
『俺は、悪くない』
『いや知らないし』
『聞いてよー。俺はさ、親切心で落とし物を届けに行ったわけですよ。
見ず知らずの女の子に。
それなのに、渡そうとしたら、凄い勢いで俺の手元から奪っていってさ。まるで追い剥ぎみたいに!』
『へえ』
『へえじゃねーよ』
『傷ついてんの?』
『……まあちょっとは』
ふっと隼人は笑った。
『可愛いね』
『なに口説いてんの?やっぱりお前は俺のケツが……』
『バーカ。違うよ。誰にでも好かれてると思ってるところ』
『はぁっ?』