男子と会話はできません

腕の力が少し緩む。それでも距離は近くて視線を少し上げると街灯に照らされた隼人くんの顔がよく見えて恥ずかしかった。


「高塚も市ノ瀬も好きだよ。二人のこと、応援しようって気持ちもあったけど、やっぱりもう無理だよ。こんなに近くにいて、思ってるだけなんてできない」


「好きって……」


好きって、そういうこと?中学のときに告白してくれたときと、同じ気持ちということ?


「付き合ってほしいとか、高塚を誰にも渡しくないとか、そういうこと」


「……」


「ごめん、もう限界。良い人の振りしてるのも、やっぱり、もう嫌なんだ」


「でも、実咲ちゃんは?告白されて付き合ったんでしょ?」


「真壁がそう言ったの?」


「……うん」

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