男子と会話はできません



「あと一週間で、夏休み」と、教室でカウントダウンをする。


「どうぜ部活三昧だろ」と言ってくるのは、彼女いない歴=年齢のクラスメイトだ。確かにほぼ部活だろうな。合宿もあるし。でも今より会おうと思えば会う時間は増えるはずだ。


「デートもするけどな」


「うがっ!デート?」


「祭りとか行こうかな」


「彼女と祭り!吐血するわ!」


反応が面白くて、からかい続けると「あーあー。むかつくから振られねーかな。一秒よりも早く、振られねーかな」と、今日も呪いをかけてくる。


「俺は、一秒よりも早くお前に彼女ができることを願うわ」


前の開いたままの扉から、隼人が廊下を歩いてるのが見えた。


「隼人ー」


声をかけると、立ち止まる。


「なに?」と、隼人が言い終わる前に「おっ!お前、噂で聞いたぞ。告られたんだろ。陸マネに」と、隣の奴が冷やかしの声をかける。


こいつ、こういうの嫌いなのに、バカと心の中で突っ込んだ。


へえと、思った通り、そっけない対応。


乗りかかった船ということで、「返事したの?」と、目を合わさずに訊いた。


「まあしたけど」


「付き合ったのかよ?」


そう言うと、冷ややかな眼差しを向けられた。
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