男子と会話はできません
◇
「あと一週間で、夏休み」と、教室でカウントダウンをする。
「どうぜ部活三昧だろ」と言ってくるのは、彼女いない歴=年齢のクラスメイトだ。確かにほぼ部活だろうな。合宿もあるし。でも今より会おうと思えば会う時間は増えるはずだ。
「デートもするけどな」
「うがっ!デート?」
「祭りとか行こうかな」
「彼女と祭り!吐血するわ!」
反応が面白くて、からかい続けると「あーあー。むかつくから振られねーかな。一秒よりも早く、振られねーかな」と、今日も呪いをかけてくる。
「俺は、一秒よりも早くお前に彼女ができることを願うわ」
前の開いたままの扉から、隼人が廊下を歩いてるのが見えた。
「隼人ー」
声をかけると、立ち止まる。
「なに?」と、隼人が言い終わる前に「おっ!お前、噂で聞いたぞ。告られたんだろ。陸マネに」と、隣の奴が冷やかしの声をかける。
こいつ、こういうの嫌いなのに、バカと心の中で突っ込んだ。
へえと、思った通り、そっけない対応。
乗りかかった船ということで、「返事したの?」と、目を合わさずに訊いた。
「まあしたけど」
「付き合ったのかよ?」
そう言うと、冷ややかな眼差しを向けられた。