男子と会話はできません
『市ノ瀬くん、今日話したいことあるんだ』
羽麗ちゃんから、改まったメッセージが届いてたことに気づき、ぼんやりとその文字を見ていた。
隼人、本気だったな。まじでムカつくけど。あいつのあんな顔初めて見た。
さっきまで、心を支配していたイラつきや焦りがおさまると、気になることが沢山あった。
どうして隼人には、落ち込んだ顔を見せれたり、嫌がらせの相談はできたんだろ。俺の知らないところで、なにを話してたんだろう。
隼人に告られて、羽麗ちゃんはどんな返事をしたんだろう。どんな顔をしたんだろう。どんな気持ちになったんだろう。
俺と知り合った頃も、隼人のこと引きずっていたくらいだし、よっぽど好きだったんだよな。
だけど、思えば、ずるかったのは俺か。
ちゃんと好きじゃなくてもいいとか、嫌がらせから守りたいなんて口実で付き合った。そんな俺か。
でもさ。あれは今思えばただのきっかけで、羽麗ちゃんだって、今は少しは俺に気持ちがある気がしてはいたんだ。
勘違いだったのかな。
無理やりでも、好きになろうとしてくれてたのかな。
俺と付き合わなければ良かったって、後悔したのかな。
ならさ、邪魔をしてるのは、俺ってことか。