男子と会話はできません
幸子さんと少し遊んで心を落ち着けてから、市ノ瀬くんに電話をした。
「あ、もしもし」
「もしもし。ごめんね。電話気付かなくて」
「ううん。今何してた?」
「今?家にいたよ。幸子さんと遊んでた」と、幸子さんの話や部活のことを話していると、楽しくて笑えた。声を聞くと安心するのかな。
「そういえば」
「ん?」
「本人に訊いてないから、わかんないんだけど。隼人、羽麗ちゃんの友達に告られたらしいね。あの実咲って子?」
「え?告白?」
噂になっていたんだ。そう思うけど、実咲ちゃんには口止めされてるから、言えないと思った。
「羽麗ちゃんも聞いてないんだ?」
「うん」と、ドキドキしながら誤魔化した。
「告ってるとこ見たって話だけだから、まあどうなったかわかんないけど。冷やかしで訊くのもあれだから、聞いてない」
「そっか」
「うまくいってたら、いいと思ってる?」
「思ってるよ」
「良かった」と安堵したように言った。