男子と会話はできません
「あの……隼人くんの家に行ったのは、家の近くで転んじゃって。たまたま通りかかった隼人くんのおばあちゃんに怪我の手当てをしてもらっただけでね」
「うん。隼人から聞いた」
「そっか……。えっと、あと、隼人くんに告白されたのは本当で、でも気持ち覚えててって、言われただけだから、何もないよ?」
「何もないってさ、告られてどう思ったの?」
「……びっくりした」
そう言うと軽く笑われた。訊きたかったのは、そういうことじゃないって、わたしだって、わかってるのに咄嗟に言えたのはそんな言葉だった。
「隼人が好きだって、気づいてなかったんだ?」
「うん……あれ?市ノ瀬くん、気づいてたの?」
「気づいてたっつうか、知ってたよ。隼人が、羽麗ちゃんのこと好きだって知ってて、羽麗ちゃんと付き合ったから」
「えっ?」と、信じられない言葉に耳を疑ってしまう。
「嘘だよね?」
「本当だよ。聞いたから、隼人に」
「……」