男子と会話はできません

「もっと続きそうな気がしてたからびっくりした。しかも市ノ瀬から別れ話したとかいうから、余計に驚いた。振られ記録、更新したのかと期待したのにな」と、ふざけた口調で言うと、わたしに目をあわせ微笑む。


「まああいつのことだから、切り替え早いのが想像ついちゃうから、早く忘れたほうがいいよ。って、羽麗ちゃんが言われたんだった!ごめん!俺、心ないこと言った。まじで、ごめん!」と平謝りする。心に冷たい風が吹いたみたいに、虚しさが襲う。


「……市ノ瀬くん、もういい人いるの?」


「いや、いないと思うよ。いない……けど、どうだろ。女にはなぜか好かれるからね。また誰かとすぐ付き合うんじゃねーのって思うよ。たぶん、あいつ一人でいられない気がするし。って、ごめん。なんか変なこと喋りまくってるね。ごめん。今のなし!」


ううん、とかぶりを振った。彼なりにわたしに気を遣ってくれたことだと思う。


「教えてくれてありがと」と、お礼を言った。
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