男子と会話はできません

「すみません」


「お前、すぐ謝るやつだな。謝ればいいってもんじゃねーぞ」


「はい」と返事をして、立ち去ろうとした。


「高塚」


びくりと立ち止まった。


「ぶりっこは好きか?」


「ぶりっこ?」


確か、あの子達に言われた言葉だ。


『つうかさ、女子との態度違いすぎだよね』


『男子の前でわざと可愛く見せてない?』


『ぶりっこ』


忘れかけてたのに、そんなこと急に思い出させるなんて、何が言いたいんだろう。


「ぶりっこってやつはさ。自分を可愛く見せたいからやるんだろ?本当の自分は可愛くないと思ってるから、ぶりっこをするんだろ?

だからあいつらも本当は自分のこと可愛くないと思っていて、よく見られたい仮面かぶってんだろうな。だから許せないんだろうよ。ぶりっこが。

ほら、前に言っただろ。人って自分がわかるものにしか反応できないって。そういうことだよ。

相手も自分みたいな生き物だと思ったら、怖くはないだろ?高塚は自分が怖いか?」
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