男子と会話はできません
「ごめん。焦った感じ。かっこ悪いね」
少し照れくさそうに言うと、手が離れた。
どうしてこんなに意識しちゃうんだろう。
だけど、隼人くんと付き合うなんて、そんなこと、できない。
市ノ瀬くんがだめだったら、隼人くんって、乗り換えるなんて無理だ。はっきり伝えないといけない。
「隼人くん、わたしね」
「今すぐ付き合ってほしいわけじゃないから。また好きになってもらいたから。俺のことちゃんと見て。それだけ」
「……でも、わたし誰とも付き合わないって、決めたから」
「高塚は悪くない」
「……」
「だから、もう一度、友達からでいいから普通にしてほしいんだ」
「友達」
そう言われると、否定の言葉が言えなかった。