男子と会話はできません
「本当にバカ」と、呆れたように言った。
「え?」
「あたしが言いたかったのは、そんな気持ちで隼人くんと流されるように付き合ってほしくないってことだよ。あたしが付き合わないでって言ったら、すんなり受け入れるような子が隼人くんを大切にするわけないんだから」
「……」
「あたしのせいで、隼人くんを振ったんじゃない?」と、確認するように訊いた。
「うん」
「一ミリもない?」
「一ミリは、あるかも」
「本当に好きだったら、話は別。あたしは部外者だもん。気にしないで。でも、やっぱり、今日は言わせて。すんっごい、むかつく。バカ」と、言い切って笑った。
「実咲ちゃん」
「だけど、本当にショックだったのは、あたしは友達だと思ってたのに、羽麗が何も言ってくれなかったことだよ。隼人くんと付き合ってたこととか、そういう気持ちで悩んだりしてたことくらい知ってたかったよ。あたしだけが仲良くなれたと思ってたみたいでさ、哀しかったんだからね」
鮫島先生に振られたと話していた実咲ちゃんを思い出した。
『先生と仲良くなれた気がしてたのあたしだけだったんだ。
そう思うと哀しくてさ。
振られたのより、なんかそれが哀しかった』
泣きそうな顔をしてた。それなのに、同じような思いをまたさせてたんだ。