男子と会話はできません
夕方、モコの散歩に出かけた。河川敷を歩く。駅の方角からこっちに向かってくる高塚が見えた。
向こうも俺に気が付いたみたいで、一度足を止めた。それからゆっくり微笑む。
どこに視線を送っていいか迷いながら、向かう。声が聞き取りやすい距離で、お互い立ち止まった。
「散歩?」
「うん。高塚は?」
「今日、実咲ちゃんと遊んできたの。あ、隼人くんも少し、焼けたね」
「ん?あ、そうかも。あまり気にしてなかったけど」
「電話、ごめんね。かけ直してなかった」
「本当だよ。また避けられたんだと思った」
「あっ」と、眉をひそめ困ったようだ。だけど、口を一文字に結ぶと、何かを決心したような顔で俺を見上げた。