男子と会話はできません
「知ってる奴来てるかな」
周りを見ながら隼人くんは言った。屋台が立ち並び、男女のグループが目に留まったけど、たぶん中学生くらいかな。少し幼かった。
「どうかな?なんとなくだけど高校生になったら、来る人少なそう。わたしも去年は行かなかったし」
「うん。俺も行かなかったな。なんか食べる?」
「食べる!」
「即答」と、笑われた。
「だって、帯が気になって、お昼あまり食べなかったから」
「帯って、そんなに苦しいの?」
「なんかね、ママがすごいきつくするからねって着付けする前から脅してきたから、食べづらかったの」
「脅す?」
「うん。おまけに胸がないから、浴衣似合うとか嫌みも言ってくるしさ。いつも言いたい放題なんだよね……」
言ってからハッとする。隼人くんに言う話じゃない。胸がありそうには見られてないだろうけど。
隼人くんは、笑ってるのを誤魔化したいのか、口元に手を当て顔を背けていた。
「い……今のなしで」
「そうしたいけど。でも仲良くしてて安心した」
まだわたしとママのことを気にしてくれてるんだ。嬉しくて、ただ頷いた。