男子と会話はできません
彼女に向かって、笑いかけたから、はっきり顔が見えた。
違う人だ。
それはそうだ。だって地元のお祭りと言っていたのだから、ここにいるはずがないんだ。
バカだな。探したっているはずないのに。
それにわたしが見つけなくても杏奈が目撃した。それは事実なんだから、わざわざ自分から傷つくようなことしなくていいのに。
市ノ瀬くんの友達だって言ってた。
『女にはなぜか好かれるからね。また誰かとすぐ付き合うんじゃねーのって思うよ。たぶん、あいつ一人でいられない気がするし』って。
だから、そうなったって不思議じゃない。
何より、若槻さんだって、ずっと好きだったのだから、別れたなら頑張るに決まっている。