男子と会話はできません
さっきからずっと感じていた。
中三のあの日をなぞりながら、今、座っている階段にもあの日の二人の影がそのまま残っているみたいだと。
そしたら、その影がわたしの肩を叩いてこういった気がしたんだ。
「あのとき、恋してたね。でもさ、恋と恋愛って、きっと違うんだよ。それでも昔にまた戻りたいの?」
隼人くんは、わたしに片思いの苦しさを教えてくれた。恋することの楽しさも。だけど気づかないうちに、そこで完結してた。
好きだった。大好きだった。
だけど、それは、やっぱりあの日のことだ。
それからの片思いはいつの間にか、好きの形を変えていた。
それは離れた時間や出会った人、いろんなものに触れたせいなのかもしれない。
あの日のわたしと隼人くんだから、一歩進むことができたんだ。
今のわたしと隼人くんではない。
はっきりわかったのに、やっぱり、すごく苦しいんだ。
大事な人、わたしを支えてくれた優しい人だから、同じ気持ちになりたかった。