男子と会話はできません
誰かの肩越しに見える隼人くんの後ろ姿。
すれ違う渡り廊下。
扉を開けてくれた、優しい手。
二人で乗った自転車。
かけてくれたブレザー。
MP3プレイヤーを聴いてる横顔。
背中を押してくれた言葉。
本気で怒ってくれたこと。
髪をすくう指先や、抱き締めてくれた腕。
好きだと思ってくれたこと。
全部が眩しい光みたいだ。
それは全てわたしの心の中にあって、これからも輝かせてくれる。そんな気がしたんだ。
だから、哀しいけど、わたしはもう大丈夫だ。