男子と会話はできません
「昨日はごめんなさい」
「……」
「羽麗ちゃん、名前聞いて笑っちゃってごめんなさい。
でもおかしいから笑ったんじゃなくて、俺ちょっと思い出し笑いというかなんていうか別のことを思い出して笑ってしまっただけで。
羽麗って可愛い名前だと思ったよ。これ本当。似合ってるし。羽麗ちゃんに」
深々とお辞儀をし、『美味なる牛乳』200MLサイズを差し出した。名前がおかしいなんて思って笑ったわけじゃないことをどうにか必死にアピールしながら、これで美味しい昼食をという思いを込めて渡したのに、なぜかその手は牛乳に触れることもない。
それどころか「ううん」と、しか返事がこない。伝わっていないのか?
「あ。これほんの気持ちです」と、引き止めるように、牛乳をもう一度突き出した。
「……」
「あれ?」
その姿勢のまま、顔だけあげた。
ぶんぶんと横に首を振っていた。
後ろから「この子、牛乳ダメなんだよ」と、言われた。同中だった石川が腕組みをして立っていた。
「まじで?うわ失敗した」
パンに牛乳は鉄板ではないのか。