男子と会話はできません
スーパーの飲料水売り場で選んだのは、「まさかのミルクティーか」と頭になかった飲み物で驚いた。
「牛乳ダメって言うから」
「ま……混ざっでるのは、別腹であります」
「うそ。混ぜる系なら俺、ミロ好き」
「……わっ……わだすも好きです」
「好きなの一緒?やーりっ!」
ようやくひとつ共通点を見つけられたと心が自然と弾んだ。だけど羽麗ちゃんはなんの反応もなくペットボトルの蓋を開けようとする。けど、開けられず、固まっている。ちょっと面白かった。
もう一度、んっと力をこめるのに、びくともしない。必死なのが、なんか可愛いくて、ぷっと吹き出してしまった。
「貸して」と、受け取った。力なんか入れなくてもすんなり開いた。
「あ……ありが……とうございます」と、受け取り、飲み込む。「美味しい」と言った顔は少しほっとしてるように見えた。
もしかして、俺、緊張させてるのかな。それか怪しい奴だと警戒されてる?
「それでは……ありがとぅございました。サヨオナラ」と、唐突に頭を下げた。早く帰りたいオーラが全開でなんとなく哀しい。
「羽麗ちゃん、バス?」
確認すると、頷く。確か隼人もバスだった。
「一緒に行くよ」
送りたくて言ったのに、「だ……大丈夫どす!」と猛烈に拒否する。
「いや、俺もそっちから帰るから」
「大丈夫」と、怯えているようにも見えて、なんとなく思った。
「羽麗ちゃんって、もしかして男、苦手なの?」
そう訊くと、身体が強張った。