男子と会話はできません









家に帰り、ブレザーだけ脱いでかける。


はぁーと、大きなため息をついてベッドにダイブした。


わたし、話したことのない男の子に何しちゃってるんだろう。


あんな反応、今まで何度もあったじゃないか。


高塚羽麗(タカツカウルル)がわたしの名前。


16年付き合ってきたけど、疲れる名前だ。


大体の人はわたしの名前が読めなくて困り、目上の人には最近の子だねと名前だけで小馬鹿にされたり、


キラキラネームだねと苦笑いされたり、同級生には変な名前と言われ続けてきた。


だけど、だからって、あの彼が悪いわけじゃないってわかってる。


わかってるのに……。


衝動的なことしちゃった。


確か、あの人は市ノ瀬くんだ。


二年生にもなると、話したことはなくても目立つ男の子の名前は自然と耳に入ってくる。


市ノ瀬くんが誰かと付き合った、別れた、振ったとか噂話を通してだけど。


凄くモテる男の子だってことくらいは知っていた。
< 8 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop