男子と会話はできません
運動公園の体育館に着く。階段をのぼって二階の観覧席へ向かった。
扉を開けると二面のバスケコートが目下に広がる。
手前に男子、奥に女子がいて、西高のユニフォームがコートの中を走っていた。バッシュが床を擦る音が響く。試合はすでに始まっているようだった。
「どこがいい?」
「男バス見れれば」
「じゃああそこでいっか」
空いている前から二番目の席に腰をかけた。
相手のユニフォームの文字を読むとHIGASHIと書かれていて、そこでようやく相手がわかった。
中央に置かれている得点ボードには32―27となっているから試合が始まってからけっこう時間は経っているように見えた。
どっちが勝っているか咄嗟に判断できないでいると、
「西高、勝ってるね」
と、隼人くんが言った。
東高がシュートし、ゴールネットを揺らした。数字が29に変わる。
「あっ……」
おまけにファウルを取られてフリースローが東高に与えられた。それも丁寧に決めた。
僅差の点数は一気に2点差とつめられた。