男子と会話はできません
気づけば試合は終わっていた。
89対68。
その試合は西高の勝利だった。
並んで礼をする。
なんか見てるだけなのに、緊張した。
額の汗を拭う市ノ瀬くん。
ふっと辺りを見回して、わたしと目があう。
「うーるるちゃーん!」
と、大きな声で呼ばれ手を振られた。
身を固くしてしまった。
まさか。
うん。わかってる。悪気ないのは、わかってるけどやっぱり恥ずかしい。
「市ノ瀬!」
そう言ったのは、隼人くんで、わたしの代わりに手を振り返してた。
あ……。
そうだ。隼人くんは、わたしが気にしてることきっと気づいてるんだ。
「お前じゃねーよ、バーカ!」
「声、でかいんだよ」
「はいはーい」と、隼人くんを無視して、「お守りばっちり!次も勝つから!」 わたしに向けて親指を立てた。
「市ノ瀬行くぞー」と声をかけられ、みんなの元へ戻って行く。