男子と会話はできません
「……ありがと」
「何が?」
「わたしの代わりに返事してくれた」
「うるさい奴見ると注意したくなっただけ」
「変わらないね」と言うとクスリと笑った。
温かいものに包まれたような気持ちになる。
「市ノ瀬くんと、友達だったんだ?」
「まあ一年のとき、同じクラスだったから知ってる」
「……そっか」
「高塚は?」
「えっ?」
「そういう高塚は?市ノ瀬となんで友達なの?」
「えっと……」
どこから説明していいかわからなくなって口ごもってしまう。
「えっとね……バスケボールを拾って体育館に返しに行ったらいてね。
そのときに友達がわたしの名前を大きい声で呼んだら、市ノ瀬くんが笑って。
なんかかっとなってバスケボールを投げつけて帰っちゃった……っていうのが知り合ったきっかけ」
そこまで言うと、「高塚だって変わってないじゃん」と、微笑んだ。