四季の恋 ~春の始まり~
教室に入る。
扉の近くで話していた女子グループが話をやめてこっちを向く。
その女子グループには紅葉さんもいた。
私は気にしていないフリをして
素通りする。
すると、女子グループにいた1人が私に聞こえるくらいの大きな声で話し出した。
「最近アキさー
B組の海城夏輝君と仲いいんでしょー
桜坂さんと仲がいいあの海城君と」
ドクン
ききたくない。
荷物をおいて急いで教室から出ようとする。
でも、遅かった。
「あっ知ってるー
海城君て結構イケメンだよねー」
「あっ私も知ってるー
ってかずっとアキに聞きたかったんだ~
海城君とどうなの?最近
めっちゃ仲いいじゃん」
紅葉さんは何も言わない。
言えないのか。
女子に逆らうのは怖い。
でも、逆らわずに話に乗ったら
ナツキが印象を悪くしてしまう。
私は次々と言われる悪口に……ただただ黙って耐えている。
怖いけど、そこで逃げるのは
なんか違う気がした。
自分の弱さを認めてしまうような気がして
逃げられなかった。