四季の恋 ~春の始まり~

「なぁ、」


放課後廊下を歩いていると、後ろから誰かに話しかけられた。


驚いて振り向くと、


「とっ、えっ、雪那くん!?」


冬馬くんがいた。



「な、なんで!!?」


「驚きすぎ」



冷めた目で冬馬くんは言うけど...


普通、突然話しかけてきた人が滅多に話さない人で、そのうえ自分の好きな人だったら驚くでしょう?


驚かない方が逆におかしいと思う



「で、どうしたの?」



未だバクバクと鳴り続ける心臓を落ち着かせて、聞いてみる。



顔、赤くなってないかな



「あ、あぁ。
この前お前泣いてたろ?
大丈夫かなって思って。

なんか関係ないことでも、誰かに話したいこととかないか?

不安なこととか

気にしてること」



ドキリとする。


さっきまでのドキドキとは違う、別のドキドキ。


「あー...」



気まずい。



アキに内緒にしたからかな。



罪悪感でズキズキする。


胸が痛い。




なんにもないよ



そう言おうとしたら、冬馬くんの慌てた声でかき消された



「お、おい!」



どうしたの?という前に気づいた。


涙がこぼれてた。



「あ、えと、」


慌てて取り繕おうとすると



「お前、ちょっと来い!」



と言われながら手首を掴まれそのまま引っ張られる


何!?私もしかしてなんかした!!?

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