四季の恋 ~春の始まり~
しばらく黙っていると、ナツキが声を出した
「あれ、
あの子前回もいなかった?」
ナツキの目が向いている方を、つられて向くと
ショートカットの髪の毛を綺麗にハーフで束ねている、背の高そうな女の子がいた。
ナツキが一瞬でも女の子に興味を示すなんて珍しいなぁ
「あぁ。
あの子、私のクラスメイトだよ。
確か……紅葉秋ちゃんだったかな。
いっつもたくさんの人に囲まれてて、クラスの人気者って感じ。」
……まぁ私は基本的に1人なんだけど……
「へぇ……そうなんだ……」
少し顔を赤らめてナツキはそういった。
ドキッと胸がなる。
胸騒ぎがする。
イヤな予感がして、
話題を変えようと少し大きな声を出して
「あっあの席空いてるよ
あの席座ろっ」
って言った。
いつもだったらそこで引き下がるナツキ。
なのに……なのに……
どうして動かないの?