鬼系上司は甘えたがり。
「主任、ちょっとそこのベンチに座ってください。お渡ししたいものがあるんですよ」
「……お、おう」
これを見たら主任はどんな顔をするだろう。
ワクワクする気持ち半分、不安な気持ち半分できょとんと目を瞬かせながらもベンチに腰掛けてくれた主任の前に立ち、袋を差し出す。
喜んでくれるといいんだけど。
「あの、これ、私からのクリスマスプレゼントです。大事なものなのに勝手なことしてごめんなさい。……でも、また一緒に歩けます」
「……へ?」
「開けてみてください」
言っている意味が理解し兼ねる、といった顔で目を見開き紙袋と私を交互に見やる目主任に、クスリと笑ってそれを押し付ける。
私の独断で勝手なことをしてしまったから内心はドキドキもので、気を抜くと笑顔が引き攣りそうになるけれど、怒られたら怒られたでそのとき考えようと腹を括り、丁寧にラッピングを解いていく主任を固唾を飲んで見守った。
やがて、パカリと箱の蓋を開けた主任は--。
「薪、これ……」
見違えるように綺麗に蘇った、あの思い出の革靴を穴が開くほど凝視したまま、ぽつりとそう呟いたきり言葉を詰まらせた。
声は少し、湿り気を含んでいるようにも思う。