鬼系上司は甘えたがり。
別に自分を卑下しているわけではないけれど、なかなか魅力があるようには思えないし、家事や料理だって人並み、もしかしたら以下かもしれないし、主任のほうが全然何でも出来る。
なのに、それでも主任が私がいいと思う理由って一体……?と、高価なネックレスを目の前にして、ちょっと怖じ気づいてしまったというか、私なんかにいいの?と思ってしまったのだ。
私を好いてくれる主任の気持ちは嬉しい。
だけど根本に疑問が残っているままでは、このネックレスを素直に喜べないような気がする。
「……薪は、俺が一番辛いときに助けてくれた」
すると、私の正面に移動し、首元のネックレスに小さく口づけを落としながら主任が言う。
全く予想していなかった行動と距離感に無条件にそこに熱が集まり、ドギマギしてしまう中、しかし主任は、そんな私さえ楽しむように指先でネックレスを弄びながら続ける。
「お前は覚えてなくていい。むしろ、思い出さないでくれたほうが俺には都合がいい。とにかくそういうことだから、俺は今後お前を裏切ったりはしないし、何があっても助ける、守る。だから安心して喜べ。甘えられろ」
「……」