鬼系上司は甘えたがり。
とりあえず、今回も新年の挨拶なら“ありがとうございます”はバカ丸出しだと思い、無難に『おめでとうございます』と返信すると、すぐさま『俺の誕生日は今日じゃねえ。6月10日だバカモノ!』と返ってきたので、どうやら私の生誕を祝ってくれているのだと判明。
慌てて『ありがとうございます』とハートのスタンプをこれでもかと盛り込んだメッセージを送ると、少し不満も落ち着いたのか、唇を尖らせた照れ怒り顔のスタンプ付きで『おう』との応答があり、新年早々のケンカは免れた。
「明けましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いします!」
「おめでとう!こちらこそよろしく」
「渡瀬さん、新年から元気いいね!明けましておめでとう!今年もどうぞよろしくね」
気持ちも新たに出社した編集部では、すでに何人かの社員が出勤していて、新年の挨拶をした私にニコニコと朗らかに挨拶を返してくれた。
それから、コーヒーを淹れたり、デスクの上を拭き掃除したり、休みの間に届いていたメールチェックをしたりしているうちに続々と社員が出勤してきて、あっという間に編集部はいつもの活気ある風景に戻っていく。