鬼系上司は甘えたがり。
しかし、そうは言っても、最短ルートなんてものがそう簡単に見つかるはずもない。
あれから2週間。
バレンタインも過ぎ去り、奥平さんにはお得意様に用意したチョコでなんとか納得してもらった私は、今日も今日とて、主任に帰り着くための最短ルートを探して日夜奔走していた。
それでも主任の背中は遠く、今はまだ、無闇にサバンナの大地を駆け回っているしかない。
その間、奥平さんからのアプローチは容赦がなく、食事に誘われること数回、ホワイトデーのお返しに何が欲しいか聞かれること数回と思ったよりがっつりと追いかけ回されていて、仕事の忙しさや由里子と出掛けることを理由に断るのも、なかなか芸がなくなってきている。
その口実に使われている由里子は言う。
「だから言わんこっちゃないのよ」と。
「でも、このペンダントトップ、1ヶ月も探してもらってたんだよ? 全力で逃げて下さいとは言われたけど、やっぱりそれなりのお礼はしなきゃいけない気がするんだけど……」
「だからそれは、引き取りに行ったときに一日付き合ったんだから、もう終わりよ。バレンタインにチョコもあげたんでしょ? 薪ちゃんがハッキリ断わらなくてどうするのよ。なに? 首のそのネックレスは飾りなの?」