鬼系上司は甘えたがり。
売り言葉に買い言葉、とはまさにこのことだ。
私のUMA発言から端を発したこの言い争いはあっという間に勝負事のほうに話の軸が流れ、気づくと車内には私たち二人の「フフフフ……」という気味の悪い笑い声が響いていた。
私も子供だけど、主任も大概子供っぽいじゃないかと、今回のことでしみじみ思う。
だって、ほんの冗談のつもりでUMAに例えたことをまさかここまで根に持つなんて。
一体これからどんな勝負を仕掛けられるのだろうと思うとキリキリと胃が痛む思いだけれど、やっぱり私には虚勢を張ってでも受けて立たねばならないほど、あの不意打ちのキスは納得し難いもので、忘れますとは言ったものの、当然忘れられるはずのないものなのだ。
……でも、主任の唇、柔らかかったな。
ってオイ。興奮するな、照れるな。
思い出してちょっとドキドキするな、私。