鬼系上司は甘えたがり。
え、もしかして、既読スルーがそんなにショックだったの? 今の切ない感じはコレ!?
構ってちゃんじゃあるまいし、面倒くさっ。
私なんて由里子嬢にスルーされまくりなんだけど。でも別に気にもならないんだけど。
「オイ、面倒くさいのはお前の方だぞ」
「……うぇい!?」
「だからその“うぇい”やめろ。萎える」
って、バレてるーっ!
どうやら気持ちが素直に表情に出てしまっていたらしく、私のどの辺りが主任的に面倒くさい部分なのかは謎なものの、上司に対して“面倒くさい”は確かに失礼だったなと反省する。
私がちょっと大雑把すぎるのだ。
私の物差しで考えちゃいけない、主任は鬼でドSだけど硝子のハート。……やっぱ面倒くさい。
そんなとき、また目の前に影が差した。
足湯のときのデジャヴ!?と咄嗟に身を引こうとすると、しかしそれより一瞬早くさっと出てきた腕で力強く腰を引き寄せられ、抵抗する間もなく、またしても主任に唇を奪われる。
心持ちこの間より長いのは気のせいじゃない。
あわよくば舌を、という下心が主任の唇から伝わってきて、さすがにこれはマズいと思った私は、硬い胸板をバシバシ叩いて抵抗を試みた。