鬼系上司は甘えたがり。
すると主任は、渋々といった感じで唇を離しながら、なんとチッと舌打ちをするではないか。
いやいや、こっちが舌打ちしたいからね!
相手が上司だから仕方なくその衝動に耐えているけど、二度も藪から棒に唇を奪っておいて抵抗されたら舌打ちとか、ほんとどうかしてる!
これはどう考えても下僕の域を超えている由々しき事態、怒って当たり前--そう判断した私は、涙目になりながら必死に声を張り上げる。
「ななな、何するんですか!」
「こうすれば機嫌が直ると思って。3週間も俺に甘えられてなかったから拗ねてんだろ?」
「……はあああぁっ!?」
「だって、それしか考えらんねぇもん」
「主任バカなんですか!?」
しかし私に、さらなる悲劇が襲いかかる。
どう勘違いしたら私が拗ねていたと思えるのだろうか、全く見当外れの台詞を可愛らしく拗ねた口調で吐かれ、私は思いっきり眉間にシワを寄せてドドスコと怒り狂った。
私のあまりの迫力に、主任が一瞬たじろぐ。
その隙を逃さず、今までの不満をぶちまける。
「なんでこんな、勝手にキスしたりしてくるんですか!そういうことは近くの下僕じゃなくて遠くの彼女さんとやって下さいっ!ひどいですよ!主任の頭の中、分からなすぎます!」