鬼系上司は甘えたがり。
 
それに、間違っていなければ斜め上的な?

けれど、ただ一つ確かに理解できるのは、やっぱり勝手に彼女にさせられていたのねという、主任のそこら辺の抜かりなさだ。

『薪で試してやろうか?』なんて私には冗談以外の何物にも聞こえなかったのに、今の口振りからしても、主任はあれ、本気だったんだ……。


なんだよもう~と、気を抜くとガックリと膝からくずおれてしまいそうな感覚に思わずよろけてしまうと、それをすかさず主任が自分のほうへと引き寄せ、ぽすっと胸に収められる。

見上げれば、主任の顔は赤い。

……ああ、これは、そういうことか。


「今、主任の心が見えました」

「そうか、それは良かった」

「はい」


一度も自分から“好きだ”と言わずに告白を成功させてしまった主任の巧みな日本語マジックに舌を巻きつつ、らしいな、と苦笑いを零す。

けれど、理解した途端に胸にぐんぐん浸透してくる、“やっと”までに至る主任の気持ちが素直に嬉しくて、すぐに笑顔になってしまう。
 
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