鬼系上司は甘えたがり。
「これで心置きなくキスできる」
そう言って主任は三度私の唇を奪ったけれど、何も案ずるものがなくなった私は、今度はそれを少しも躊躇わずに受け入れ、舌を絡められながら主任に少し笑われてしまったのだった。
まったく。この人はとんだ甘い鬼だ……。
*
「……しまった。俺としたことが準備を抜かっていた。ちょっと買ってくる。待ってろ」
「裸でですか!? あ、いや、私も替えの下着が」
「よし分かった、マッハで済ますぞ」
「……はい」
そんな、なんとも間の抜けた会話から始まった、嬉し恥ずかし主任と初めてのアレ。
大量のカボチャや飾り付けも後回しにしてベッドへと誘われたのだけれど、いざというときになってお互いに準備が整っていなかったことが発覚した私たちは、脱ぎかけた(または脱がされかけていた)服を何とも言えないビミョーな気持ちで身に付け、そそくさと部屋を出た。
駐車場まで着くと、ちょうどぴゅ〜と吹いた秋の終わりの風が、アホな私たちを嘲笑うかのように枯れ葉をカサカサ言わせながら吹き抜ける。
恥ずかしい。とても。