鬼系上司は甘えたがり。
 
口をへの字に曲げて主任が拗ねる。

この人、基本表情は素直だから感情が分かりやすいのよね、照れてる照れてる、可愛い。


「……それより、楽しかったか?」


ニコニコと笑いながら、そのまま少し可愛い主任の照れ怒り顔を見上げていると、このままでは埒が明かないと判断したのか、憮然とした顔をしながらも主任が話題を変えてきた。

私を由里子のところへ送り出すときには既に覚悟は決めていたようで、『楽しかったか?』の中に『全部知って満足したかコノヤロウ』が含まれているのが手に取るように分かる。

……うわ、目でこんなに物を言う人初めて見た。


「楽しかったですよ。とっても。だから今日は自分の足で主任に会いに行きたかったんです。ちょっと……ギュッとしてほしくて」

「そうか、やっと薪も自ら喰われたいと思うほど俺に懐いたか。よし、望み通り喰ってやろう」

「いや、あのっ……えええーっ!!」


辞めていった同期2人のことで切なくなっていたから、ちょっと主任に抱きしめてもらいたかっただけなのに、なんということだろう。

抱きしめられるどころか、お腹を抱えられてベッドに強制連行って、どこの暴君ですか!
 
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