鬼系上司は甘えたがり。
「せ、せめてシャワー貸してください!」
「俺はもう浴びた。問題ない」
「うぇい!?」
「だから“うぇい”やめろっ」
「うぇいも出ますよっ!」
ジタバタ暴れて抗議をしても主任の腕はビクともせず、着々とベッドに連行されながら、暖簾に腕押し、糠に釘な問答を繰り広げる。
主任のこういうとこ、やっぱ苦手だ。
そりゃ、こんな私に二年半も片想いしてくれたのだから、自ら懐に飛び込んできた獲物を前に気持ちがはち切れんばかりなのはお察しできないわけでもないけれど、でもやっぱり嫌だ!
「せめてシャワーって言ってんでしょぉおお!」
「ごふっ」
持っていた通勤バッグを思いっきり振り回した私は、見事背中にヒットし、バッグの衝撃と痛みに咽せて力が緩んだ隙に主任の腕から抜け出し、間一髪、危機を逃れたのだった。
まったく、油断も隙もない。
とまあ、なんやかんやありつつ--。
バッグで鉄拳を食らわされたくらいでは主任の欲求は萎えるわけもなく、2人分の重さでギシリと悲鳴を上げるベッドの上で、私は主任にいいようにされながら甘い刺激に翻弄される。