鬼系上司は甘えたがり。
「薪は俺が好きか?」
「す、好き……んあっ……す、き……」
「上出来だ」
満足そうに笑う主任の、なんとドSなことか。
自分からは絶対に言わないくせに私にばっかり言わせたがるこの人は、根っからのそういう性分なのだろうとつくづく思い知らされる。
分かっていたことだけど、普段がドSなぶん、ベッドの上でくらい甘く囁かれてみたいというのが乙女心、純然たる欲求というものだ。
「主任は……好きっ……ですか?」
「クソ、まだ喋る余裕があるのか。いいから何も考えるな、黙って抱かれろ。バカが」
けれど、主任ときたらこれである。
どこまで行ってもドSらしい。
そのうち、宣言通り本当に何も考えられなくさせられてしまい、口を開けろだの、顔を隠すなだのと命令されるがままに忠犬よろしく従順に従ってしまった私は、体の奥に残る主任の余韻に身を任せながら、言葉で言われなくてもいいやーと、純然たる欲求を放棄する。
これだけ愛してもらえれば本望というものだ。
「飲むか? 水」
「あ、いただきます」
冷蔵庫にミネラルウォーターを取りに行っていた主任が、ベッドにぐったりと横たわっている私にペットボトルを差し出してきた。