鬼系上司は甘えたがり。
 
言うことを聞かない体をなんとか起こしてそれを受け取ると、しかし飲み口に口を付ける前に顎をグイッと持ち上げられ、なぜか強制的に主任のほうを向かされてしまう。

あれ、水くれないの?とポカンとして見上げていれば、私の手からペットボトルをスルリと抜き取り自ら水を口に含んだ主任に、いわゆる“口移し”というヤツでそれを流し込まれる。


こ、この人、ナチュラルにエロい……!

とかなんとか思っている間に、そのまま冷たくなった舌で口の中を好きにされてしまえば、その冷たさに反比例するように、ようやく下火になってきた体の熱も再熱させられてしまう。


「もう一回できるな?」


長く濃密なキスのあと、飲みきれずに口の端から流れてしまった水を親指で拭われ、そう問われれば、体にズクンと大きな熱が生まれる。

熱情の籠った瞳で射抜くように見られては、抱かれたいという欲求を従順に受け入れるしかなく、私は返事の代わりに主任の首に腕を回す。

すると主任はふっと嬉しそうに笑い、再び深いキスをしながら私に体重をかけ、ゆっくり、ゆっくり、ベッドに押し倒していった。
 
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