歪んだ愛情【更新中】


震える携帯の着信表示には、ハートマークで挟まれた信ちゃんという文字。

通話ボタンを押して携帯を耳に当てた。


「はいはい?うん。いや、急に迎えに行くとか言うからびっくりして。もうお風呂入っちゃったよ。スッピンなんだけど。え?面倒くさい。えー!!」


いやいや携帯を閉じ、クローゼットを開ける。

適当に服を取り出し、着替え始める。

黒のバルーンスカートに、少しフリルの付いた半袖のブラウス。
グレーの七分のカーディガンを羽織り、化粧をする。


アイラインを描くのに集中しすぎて携帯が震えているのに気が付かなかった。


信吾に買って貰ったブランド物のポシェットにお財布と携帯と煙草を入れる。

入れた後に携帯のディスプレイが点滅しているのに気が付いた。


思わず大きく深呼吸をする。


静かに携帯を開くと知らないメールアドレス。


心臓がゆっくり、ゆっくり音を大きくする。

そして速度をあげていった。


-初めまして。淵本千歳です。ふちもとちとせって読みます。急にごめんね。毎日暇でさ、携帯もろくに鳴らないし。メールしてくれませんか?刺激が欲しくて。笑-


淡泊なメールだった。
信吾のメールとは違い、シンプルなメールに美海は急いでメールを返した。


「初めまして。小川美海です。みうって読みます。あたしで良かったら暇の相手しますよ。刺激になるか分からないけど。こんなんでいいのかな?」


メールを3回を読み返し、やっとの思いで送信ボタンを押す。


こんなにメールで緊張したのは、
信吾との初メール以来だ。







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